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運動と癌予防

もし、あなたが乳癌予防という目的を掲げ一生懸命に運動をされているのなら、ここでお知らせしたいことがあります。最近行われた癌と運動の関係を調査した結果から見ても、あまり大きな成果は期待出来ない、ということです。しかし、汗をかいて運動をすることは健康を維持する上でやはり大切なことではあります。運動と乳癌の関係に関しての最新情報をお届けしましょう。国立癌研究所が出版する雑誌(Journal of the National Cancer Institute)7月号に掲載された記事です。ここでは、1989年に行われた116,000人の看護婦を対象にした大規模な質問調査を行いました。その結果、1990年代初期に入ってからの乳癌発症状況を見たところ、運動をしっかりとしていた者が必ずしも癌を予防出来ているわけではないことが判明したのです。

Scientific Argument (科学的議論)
上記の調査に関しては、今もって科学者達の間では、その調査意義に関して論争が巻き起こっています。ハーバードメディカルスクールのBeverly Rockhill 医学博士からは(website MSNBCからの引用);『この調査からは何も示されていない。癌発症の危険性も無ければ、その予防に関する証拠も無い。』との批判も出ています。

当初、ハーバードの研究者達は、18歳から22歳までの若い看護婦を対象に調査を行っていました。彼女達がどのくらい運動をしているか、また、高校時代にはどの程度の運動量であったかの質問しています。その6年後、彼女達の内372人に乳癌が見つかりました。細身の身体、運動で鍛えられた健康体でも癌の発症に関してはあまり関係が無いことが解りました。

この調査の欠点としては:被験者の女性が皆、閉経前であったことで、一般的に乳癌発症が見られるのが閉経後であること、などが指摘されています。また、『確かに、運動は、閉経後の癌の発症を抑制する上では、やや効果があると考えられる。』とRockhill 医師は運動による癌予防効果を認める発言もしています。

ここでひとつ言えることとして:体重の重い(そして恐らくあまり運動をしない)閉経前の女性の方が、痩せ身の女性よりも、乳癌発症の危険度が低いということです。若年期において、体内にある余分な脂肪細胞が、乳癌を引き起こすホルモンの生成を抑制するせいだと考えられます。しかしながら、女性が閉経期を過ぎた場合、この同じ脂肪細胞が今度は乳癌を発症させる危険因子となるのです。その理由として:閉経後、体内のエストロゲン値が下がった時、体内脂肪はエストロゲンの生成をはかります。それが乳癌発症の危険性を高める要因なのです。

ハーバードスクール公衆衛生科による様々な乳癌を分析した研究の結果報告を見ると:『全ての調査結果が一貫して同じであったわけではないが、全体的な評価として、運動が乳癌を予防する傾向にあることが見られた。』とあります。しかし、このレポートでも、運動が乳癌を予防することを明確に提示するには至っていません。そして『運動と乳癌の関係は、これからのリサーチの重要課題として残っている。』と締めくくられています。


Colon Cancer(結腸癌)
結腸癌はエクササイズ(運動)をすることで予防可能である、と科学者らが声を揃えて言っています。(結腸癌は年間10万人のアメリカ人に発症しています)。この件に関する調査結果として、身体を動かすことの多い職種(1件1件を歩いて回る郵便配達など)に就いている人には結腸癌発症の危険度が極めて低いことが明示されています。(Annals of Internal Medicine, 1995, 122:327-334)。

運動を行うことでの結腸癌予防効果については、他の国々でも同じ結果が観察されていることから、科学者の間では、この病気の発症危険率は、運動をすることでかなり抑えられることが確信されているようです。専門家達は、運動をすることで腸内が空になり、結腸が発癌性物質にさらされる時間が短縮されるためであると、考えているようです。更に、運動をすることで、血中に循環するホルモンインシュリン値が下がることも原因に挙げられています。低いインシュリン値は、結腸癌の成長を抑制すると考えられています。

ここで更なる朗報です:癌を予防するために運動をする場合、それほどに気合を入れた運動でなくても大丈夫なようです。ハーバードの調査報告によると、1週間に3時間ほどの軽いウォーキングで結腸癌の発症危険度を大幅にカット出来るそうです。週に5時間以上もジョギングをすれば、結腸癌発症リスクは50%以上も下がるそうです。


Exercise Helps Cancer Treatment (運動は癌治療を促進する)
癌に既にかかっている患者さんには、運動がかなりの割合で回復を促進させる、と医師はエールを送っています。運動をした場合の効用として:疲労感の削減、スタミナがつく、筋肉が増強される、などがあります。

ドイツのFreiburg大学メディカルセンターで行われた試験的調査では、ケモセラピー(*化学治療)を受け終わったばかりの16人の患者さんに『エクササイズ(運動)プログラム』に参加してもらいました。(他の16人の患者さんは、このプログラムに参加しませんでした。)2ヶ月後、運動を行ってきた患者の血液中のヘモグロビン値が増加しているのが観測されました。これは、彼らの体内でより多くの酸素が各組織へ運搬されるようになったことを表します。また、運動を行ってきた患者は、1マイルを12分ほどでジョギング/ウォーキング出来るようになりました。(Cancer,79[5/1]1717)。



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